**これは、Fediverse Advent Calendar 2021の5日目の記事です。**
『今年のなすーんさんの賞与評価ですが、残念ながら、B+(5段回中2段回目。つまり平均以下)となってしまいました。』
マネージャーが務めて冷徹に、しかし、心の奥底では、『この若人(わこうど)も可哀想にな…守ってはやれなかったか…』という、1人の将としての慈愛を持った声音で、俺にそう告げた。
俺は衝撃を受ける。
だが、瞬時に理性で納得する。『この結果は仕方がない』と。折しもコロナ禍の真っ只中、本来なら与えられる筈のJOBの受注は完全にSTOPし、俺に至っては3ヶ月に一度しかJOBが無いなどという時期すらあった。
しかし、それは、理性でいくら理解しようとしたところで、現状の『カード払いが110万ある』という現実とあからさまなバッティングをして、
俺の受け答えはマネージャと同じく冷静でも、画面の向こうの俺の身体は、まるで細かい紙屑が風に飛ばされる時のように、不安定で不確かな物へと変貌していった。
『何か、質問はありますか』
マネージャーが、せめてもの異議申し立てを促すかのごとく、若兵をねぎらおうとする。
しかし、紙屑になった俺は、それでも分かっていた。『この評価は妥当であり、マネージャにも評定の最終決定権は無く、従って異議を唱えても覆らない』と
だから、紙屑のぱらぱらした声帯で、しかしなけなしのプライドの中で、利口な新人のフリをし、取り繕ってこう答える。
『いえ、特に質問などはありません』
会議は、その後私の体調の話を2、3してから、ものの5分で終了した。
※※※この記事は、私が高額なリボ払いを背負い、そして返すまでの、聴くも嘲笑、語るも自嘲の、涙涙のストーリーであります※※※
ー21年、6月の雨が人々を濡らす折、弊社の評価面談は在宅勤務によりTeamsのテレビ会議で執り行われた。
会議と言っても、それは単に『今年のお前の評定はこれだったぞ』とつきつけるだけのもので、特にこの様な不況の折になんか、それをする方もされる方も気分が良くないに決まっているわけで、
例えば月に60時間残業をしていた同僚がやっとA評価を取るというような、散々な様相を呈していたのであった。
いやいやいや
まてまてまて
いや、良いんだよ。良いんだ。分かってる。不況だもんね。いま。会社も苦しいでしょ。問題はそこじゃないよね?
なんで俺のカード払い110万もあるの???
これについて考察した結果は以下
①気が狂っていたので、『30万くらいリボ払いしても大丈夫でしょ』とか思って、20年12月になんかよく分からない服とか小物とかを沢山買った。
まずこの時点でダメだろう。『借金をしても大丈夫』という思考が何かおかしい。最も俺は精神(正確には脳)に病を抱えていたから、思考がおかしいのは、まあ、仕方がないにしても。
図1.買ってしまったよく分からない物達の例。本当によく分からない。
いやいやいや
ダメだろこれ
まずなんだこれ?何に使うんだ?
なんかコレを買った俺は、当日に、ガンダムハンマーみたいに振り回して遊んでいた気がする。(なんか左のやつ、持ってるとターンエーガンダムのゴールドスモーみたいでかっこいい)
病気の人にお金をあげると、こういうことになるのか〜という知見が得られましたね。良かった。
だが、マジでこれはまだ、この30万分のリボで済めばマシな方だと思うのだ。この後に更に悲劇が俺を襲う…
②『ゲームがしたい』との理由で、ゲーミングPCの王道エイリアンウェアを、あろうことか夏のボーナス一括払いで購入
図2.現在では3万円ほど値引きされているのがわかるが、値引きされてこの値段である
待ってくれ
頼むから、待ってくれマジで
なんで?何がしたかったん?ゲームしたいならその値段じゃなくてよくない?SSDが1TBもあるよ。何に使うのそれ?
俺は、明らかに、踏み出してしまっていた。間違った道へ。奈落の底へ。
思えば俺は、学生時代、ずっと貧乏であった。
中学生の時、皆んながPS3とかPSPで遊んでいる頃、1人だけ俺はゲームボーイアドバンスで、マザー1+2を繰り返し遊んでいた記憶がある。もう1も2も20周ずつくらいクリアしたせいで、1の比較的難易度が高い造り、堅牢な敵に対しても、どう立ち回ればいいのか今でも大体覚えているくらいだ。
大学生の頃から、更に俺の貧困は加速した。今の日本の大学というのは、学費が決して安くない。例え国立といえども年に52万ほどかかるのだ。私立なら、理系では180万にものぼる。だから、お小遣いなど貰う余裕はなく、大学生というのは必然的にアルバイトを強いられる悲しい生き物となる訳だが、こと俺に限っては、そもそもうつ病であったせいでバイトのシフトを休みがちだったりしたのだ。
今でも覚えている。寒い雪の日、一人暮らしの居間で、近所のBOOKOFFで200円で売っていたスパロボを遊んでいたら、雪による窓の結露で、窓際に置いていたPS2が濡れて壊れてしまったことを。
その頃世間では、PS4が発売され、ブラットボーンとかの実況動画を妙に声のいい弟者(おとじゃ)とかいうyoutuberがやってたのを、僕は当日入学祝いで買ってもらった7万のPCで楽しく、羨望の眼差しで見ていた記憶がある。
愚痴が長くなっちゃった。
要するに、俺は、長い貧乏生活の中で、思ってしまったのだった。
『ああ〜いつか自分の欲しいものを自分の金で買いてえ〜』と
そして紆余曲折あった今、遂にそれを実現するだけの経済力を得て、更には自分が想像していたよりも社会人という生き物の貰いが良かったせいもあり(俺は学生時代、月に4万も使えれば豪勢な暮らしができると考えていた。酷い時は月8000円とかで暮らしていた。が、社会人になれば手取りは年金を引いても17万なのだった)、
俺は間違った確信をしてしまったのだ
『ああ〜…俺今、欲しいものなら、なんでも買えるな…』
その確信を境に、まるで俺は手塚治虫作品で、奪われた自分の肉体を取り戻す百鬼丸の如く、服を買ってはリボ払いし、靴を買ってはリボ払いし、豪勢な食事をしてはリボ払いをしていた。
前置きが長くなったが、どうだろう?このような貧困が重なった結果、この社会に1人の悲しいブルーアイズリボリボドラゴンが召喚されてしまったのだ。攻撃力は3000。キャッシング額は30万。
いや、同情してくれとは言わないし、別に応援のお便りをくれとも言わないんだが、要するに『哀れな犯罪者にも罪を犯すだけの理由があったんだよ』という弁明を俺はしているのだ。
しかし、まあ、ここまでなら、ここまでならまだ65万の借金で済んだであろう。しかし、忘れてはならない。既に俺は『貧困』という土壌に全てを奪われた悲しいモンスターである。子供の頃家にやたらとゴキブリが出たし、通ってる中学はヤンキーみたいのにいじめられるしで、よく考えたら僕はスラムの生まれなのではないのかなとか最近考えはじめたが、ともかくも、スラムのいじめられっ子が、度重なる病を経て、遂に自らを怪物と化し、更なる禁忌の扉、追加に追加のリボ払いをしてしまうのであった。
③『仕事でAIが完成したから』という謎の記念に、もう一台PCを購入し、ドルガバの靴や、様々なものを買った
(もう写真を載せられない。買った物品が多すぎて、余りにも酷いので)
擁護不能。理解不可能。古今東西。摩訶不思議。舐めてんのか俺は。
はい、追加リボ払い45万。
めでたく小計110万の出費である。中古車なら買えるね。あはは。
はい、ここで冒頭に戻るわけなんですが、僕の賞与の評価はB+なんです。具体的にどういうことかと言えば、同僚より1.5ヶ月分(=約30万円分)ボーナスが低い訳なんですね。
30万低い…???
ー大体気付いてた、大人には、『曖昧と嘘』が、必要で、『間違い』を見つけても、知らないフリを、するんだー
っていう、ダイナゼノンのちせちゃんのキャラソンが頭をループしましたね、この時ばかりは。
もう、いいんだ…もう、静かに眠らせてくれ…
その後、なけなしの貯金となんとか低いながらも貰えたボーナスで、半額の55万は返せたんですが、21年8月の時点で、僕は残り半額の55を丸々リボに抱えていた訳です。頭おかc
何の為に生まれて、
何をして喜ぶ
分からないまま終わる
そんなのは嫌だ!
8月、まさに、自分は手塚治虫作品の『リボンの騎士』ならぬ『リボの騎士』として、新しく生まれ変わるのでした…
※※※
21年 12月現在
なんとかリボを返済しました…
その間、何か色々な物を売ったり、節約に節約を繰り返したり、親が倒れたから家事全般をこなしたり、色々あった訳ですが、詳しく書くと悲しすぎて俺が泣いてしまうので割愛します。
ともかくも、ともかく、リボは返せた。
やったー!
じゃあまた何か買えるね!?(無邪気)
図3.靴。らしい。よく分からない。もう誰も分からないんじゃないかな?
えへへへ
ぐへへへへ
図4.僕の靴のコレクション。僕はもう、手遅れなんだ。
最後に、この記事の結論を述べましょう。
『今更どんなに金を得ても
狂ってしまった心は治せん』
図5.今僕まさにこれ
はい、終了!読んでくれてありがとう!
H A P P Y E N D